集団授業に合わない子どもたち

2015-06-17

私は長年、公立小学校の教師をしていました。様々な学年のクラス担任を始め、算数・理科・図工の専科教諭や、特別支援学級の担任もしました。その中で常々、集団で一斉に授業を受けさせることに疑問を感じていました。確かに、特に学力に差の付きやすい算数などでは、少人数指導や、中にはさらに習熟度別に分けて授業を行っている学校もあります。しかし、学校は教員の人数も限られており、やはり集団による一斉授業と言わざるを得ません。

そして、学校には教育課程というものがあり、各学年・教科で、教えなければならないことが決められています。尚かつ、行事も盛りだくさんです。けっこうなスピードでこなさなければ、終わらせることが出来ません。すると、どのようなことになるか‥‥。子どもたちが理解しようがしまいが、どんどん先へ進める、ということになります。私も大変、心苦しい思いで授業に追われていました。

子どもたち一人ひとりを見ていると、性格や考え方・行動など、実に様々です。同様に学力も、学年が上がるにつれ、つまずいている所や理解度など千差万別です。

少し分かりやすい例を挙げましょう。例えば高学年でも、算数の習熟度が低学年で止まってしまっている子どももいます。ところが学校では、子どもの習熟度に関係なく授業が進められます。要するに低学年の児童が、高学年の授業を受けているのと同じ事になります。

学校の先生方は年間を通して、非常に熱心に教え方の研究をしています。私もさんざん、研究授業などをさせてもらったり、または自分の勤務している学校を含めいろいろな学校へ赴いて授業を見せていただいたりして、教師としての技量を磨いてきました。しかし、いくら「分かりやすく楽しい授業を!」とはいっても、しょせん、各学年・教科の内容でしかないのです。つまり、5年生の算数であれば、4年生までの算数が分かっているということを大前提にした授業なのです。それを低学年の児童が熱心に聞いても、分からないのです。

では、学年を取り払って、それこそ各教科、習熟度別に授業を受けさせるなどということは‥‥。不可能だと思われます。調整も大仕事ですし、なにより教員の数が足りません。

すなわち子どもたちは、過去においてどこかでつまずいてしまったなら、学校の授業を一生懸命受けているだけでは追いつかないのです。分かるところまで戻っての”学び直し”が必要なのです。しかも、かつてつまずいているわけですから、同じやり方では難しいのです。

当塾では、塾長の私が、学年などは関係なく、その子どもの各教科の習熟度に応じて学習計画を作り、修正を加えながら着実にこなしていけるよう指導しています。きちんと手順を踏めば、友だちに追いつき、学習の楽しさも味わえると考えます。さらには将来への展望も開けてきます。

もちろん、学習が進んでいる生徒さんの先取り学習も大歓迎です。そうすれば学校の授業は復習となり、より自らの可能性を拡げていくことにつながるでしょう。

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